乳幼児の食物アレルギーは、皮膚バリア機能の破綻により通常は通らない食物アレルゲンが皮膚を通過し感作(アレルギーを獲得すること)が成立することにより発症することがわかってきました。すなわち、乳児期の顔面の湿疹から母乳やその他の食物が吸収されアレルギーが発症するということです。いかに乳児期からの皮膚バリア機能の維持(保湿、皮膚炎の早期治療)が重要かお判りいただけると思います。

下痢や嘔吐・気分不快など重篤な反応がなければ、極端な食物制限は行わず、抗アレルギー剤の内服とステロイド外用により皮膚の状態を改善させます。2、3歳までに卵白アレルギーの8割程度は軽快・消退します。重症な場合は食物制限・負荷試験を小児科アレルギー専門医の監督の下に行う必要があります。

  成人の場合では、原因物質摂取後、気分不快、悪心、嘔吐、下痢、全身の蕁麻疹などを引き起こすのが甲殻類(カニ、えび)・そばに代表されるクラス1食物アレルギーです。運動後や消炎鎮痛剤内服で増強される食物依存性運動誘発性アナフィラキシーもこのタイプです。それに対し、花粉症に合併することが多い、特定の果物(メロン、桃、りんご、トマト、スイカなど)を食べると口の中がイガイガしたり、くちびるが腫れるなどの軽度な症状(口腔アレルギー症候群OAS)も食物アレルギーの1種で、タイプ2食物アレルギーに分類されます。熱に弱い抗原のため、加熱すると症状が出にくくなります。鼻の粘膜から花粉に感作されると他の種類の果物を食べても反応するようになるのが特徴です。ヨモギ花粉症ではセリ科のスパイスと幅広く交差反応を起こし、カレーを食べるとOASを起こすことがあります。

いずれの場合も、血液検査や皮内テストで原因アレルゲンを特定し、接触を避けることが大事です。発作時には抗アレルギー剤やステロイド剤の内服、点滴が必要です。